ニセコ・倶知安で、雪のない季節にも海外からの旅行者が戻ってくる宿として、編集部が選んだ5軒を紹介します。羊蹄山の稜線が緑から錆色へと移る9月の終わり、パウダースノーで世界に名を知られた谷は、もう冬だけの目的地ではありません。ニセコビレッジではゴルフとラフティングの客が朝の食堂に並び、HANAZONOのゴンドラ脇には夏のあいだ自転車の列ができます。今回は、ニセコビレッジ、ひらふ、アンヌプリ、HANAZONOと、ニセコユナイテッドの4つの麓に宿を1軒以上置くことを条件にしました。そのうえで、秋から初冬の閑散期にも灯を落とさない通年営業であること、英語を前提とした運営、そして長く滞在できる客室のつくりの3点で選んでいます。冬の予約が動き出すこの時期に、秋の下見を兼ねて一度泊まる使い方を想定した5軒です。
| # | ホテル | エリア | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ヒノデヒルズ ニセコビレッジ | ニセコ町・ニセコビレッジ | — | ¥29–¥72k | ゲレンデ直結の全室スイート。キッチンと食洗機を備え、季節をまたぐ長い滞在に向く |
| 2 | チャトリウム ニセコ ジャパン | 倶知安町・ひらふ | 78 | ¥39–¥92k | タイ発のブランドがひらふで運営する78室。館内4店の食と無料シャトルで村に溶け込む |
| 3 | ニセコノーザンリゾート・アンヌプリ | ニセコ町・アンヌプリ | 152 | ¥22–¥41k | 1985年開業、アンヌプリ麓の152室。天然温泉とスキーロッカー直結の斜面を持つ |
| 4 | ザ・ヴェール・ニセコ | 倶知安町・アッパーひらふ | 72 | ¥65–¥134k | 2009年竣工、ニセコ初のコンドテル。リフト30m、夏は温水プール、客室温泉付きの棟も |
| 5 | ニッコースタイルニセコ HANAZONO | 倶知安町・HANAZONO | 234 | ¥30–¥56k | 2024年12月開業、HANAZONOのゴンドラ隣接。上層階は客室内に天然温泉のバスを備える |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
1. HINODE HILLS NISEKO VILLAGE, Curio Collection by Hilton — ニセコ町
羊蹄山を正面に据えたニセコビレッジのゲレンデ際に、全室スイート。季節をまたいで暮らすように泊まるための一軒です。
全室スイート、アパートメント型ホテル。
目安価格 ¥29,000–¥72,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
ニセコビレッジの麓、ゲレンデに直接出られる位置に建つ全室スイートの宿です。2019年12月にYTL Hotelsが開業し、2025年12月からはヒルトンのCurio Collectionの一軒として運営されています。推す理由は3つあります。1つ目は、スタジオでも約64㎡、3ベッドルームでは約148㎡ある客室の広さ。2つ目は、Miele製の食洗機を含むキッチンで、1週間を超える滞在でも生活の手触りが崩れないこと。3つ目は、同じビレッジに温泉、ゴルフ場2コース、アドベンチャーパークが揃い、夏も秋も一日の行き先に困らないことです。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、客室の広さと窓からの羊蹄山、スタッフの英語対応への評価が安定して高い一軒です。家族や三世代での滞在の記述が多く、キッチン付きの客室が長期滞在の理由として繰り返し挙がります。一方で、ひらふのような飲食店の集まる通りからは離れているため、夕食の選択肢が限られる点を指摘する傾向も見られます。冬の最盛期と秋の閑散期とで評価の差が小さい点も、通年の宿として見逃せません。
向く人 / 向かない人
- 向く: 三世代や子連れで1週間前後滞在する家族、夏のゴルフや秋の紅葉と冬の下見を兼ねる旅程、自炊と外食を組み合わせたい長期滞在者
- 向かない: 毎晩ちがう店で飲み歩きたい人(ひらふの繁華街まで車移動が要る)、1泊だけの短い滞在(広さとキッチンを持て余す)、低めの予算で泊まりたい人
具体情報
- アクセス: 新千歳空港からニセコビレッジまでバスで約2時間半〜3時間
- 客室サイズ: スタジオ約64㎡〜3ベッドルーム約148㎡(分譲時の専有面積)
- 設備: 全室キッチン(Miele製食洗機など)、ラウンジ、スキーバレー、レストラン、温泉
- ゲレンデ: ニセコビレッジスキー場にスキーイン・スキーアウト
- 開業 / ブランド: 2019年12月開業、2025年12月からCurio Collection by Hilton
2. Chatrium Niseko Japan — 倶知安町
ひらふの村の中ほどで、78室すべてにキッチン。タイ発のブランドが、食と移動の手間ごと引き受けてくれる一軒です。
78室、アパートメント型ホテル。
目安価格 ¥39,000–¥92,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
ひらふ1条3丁目、「Shiki Niseko」の建物に入るタイのチャトリウム・ホテルズ&レジデンスの宿です。2020年9月から現在のブランドで運営されています。推す理由の1つ目は、館内の食の厚み。コンテンポラリーの「AóRA」、スペインのタパスを出す「Temporada」、自家農園の食材を使うカフェ、シェフズテーブルを持つ「The Flat’s」と、連泊しても外に出ずに済むだけの選択肢があります。2つ目は、30㎡のスタジオから173㎡のペントハウスまで全室にキッチンがあること。3つ目は、毎日8時から17時まで無料のシャトルバスが走り、夏も冬も村の中を車なしで動けることです。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、スタッフの英語対応と館内レストランの質への評価が突出し、冬季だけでなくグリーンシーズンにも高い評価が続く傾向が確認できます。複数の寝室を持つスイートを友人同士やファミリーで分け合う滞在が多く、羊蹄山側とアンヌプリ側で眺めが異なる点がよく話題になります。ゴンドラまでは少し距離があるため、スキーイン・アウトを重視する人からは送迎の時間帯を気にする声も見られます。
向く人 / 向かない人
- 向く: 友人グループや二家族で1つのスイートを分け合う旅、館内で食を完結させたい連泊、車を借りずにひらふで過ごす夏の滞在
- 向かない: ゲレンデに直接出たいスキーヤー(ゴンドラまではシャトルか徒歩が要る)、和の旅館らしい様式を求める人、静かな森の一軒家を望む人
具体情報
- 所在地: 倶知安町ニセコひらふ1条3丁目(Shiki Niseko内)
- 客室サイズ: スタジオ30㎡〜3ベッドルーム・ペントハウス173㎡、全室キッチン付き
- 食事: 館内にAóRA、Temporada、Green Farm Deli Café Roaster、The Flat’s など
- 送迎: 無料シャトルバス(毎日8:00〜17:00)
- 設備: 24時間利用できるフィットネスセンター、スキーロッカーとブーツルーム
- 開業 / リブランド: 2020年9月に現ブランドへ
3. ニセコノーザンリゾート・アンヌプリ — ニセコ町
アンヌプリの麓に152室。天然温泉とゲレンデ直結のスキーロッカーを持つ、1985年開業の大型リゾートです。
152室、リゾートホテル。
目安価格 ¥22,000–¥41,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
ニセコアンヌプリ国際スキー場の麓で1985年から営業を続ける、地上3階建ての大型リゾートです。推す理由は3つあります。1つ目は、スキーロッカーから直接ゲレンデに出られる位置と、館内の天然温泉浴場。2つ目は、公式サイトを英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)でも用意し、海外からの予約を最初から前提にしていること。3つ目は、冬の最盛期でも他の4軒と比べて抑えめの価格帯です。2025年の秋には客室の改装工事も行いました。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、温泉と朝食、ゲレンデへの近さへの評価が厚く、件数の多さに比して評価のぶれが小さい一軒です。国内の家族客と、アジアからのスキー客が同じ館内で混ざり合う構成が読み取れます。ひらふのような外食の選択肢がない立地のため、夕食は館内で取る前提の滞在が多くなっています。客室の新しさについての言及は、改装の前後で差が出る傾向があります。
向く人 / 向かない人
- 向く: 温泉と一緒にスキー旅を組みたい家族、ひらふの喧騒から離れて滑りたい中上級者、価格を抑えて長く泊まりたい旅程
- 向かない: 夜の飲み歩きを旅の軸にする人(周辺に飲食店が少ない)、キッチン付きの客室で自炊したい長期滞在者、デザインホテルの設えを求める人
具体情報
- 最寄り駅: JRニセコ駅からタクシーで約10分(新千歳空港・札幌市内から車で約120分)
- 客室サイズ: 25〜60㎡(スタンダード〜デラックススイート)
- チェックイン: 14:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: フュージョンレストラン「エクラ」、四季彩ダイニング「あんのん」
- 駐車場: 60台(無料)
- 開業: 1985年12月
4. The Vale Niseko — 倶知安町
アッパーひらふの斜面際、リフトまで30m。ニセコで最初のコンドテルとして2009年に建った一軒です。
72室、コンドミニアム・ホテル。
目安価格 ¥65,000–¥134,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
アッパーひらふのエース・ファミリー・コースの際に建つコンドミニアム・ホテルで、2009年12月に竣工しました。公式サイトは、ニセコで最初のコンドテルと紹介しています。推す理由の1つ目は位置で、エース・ファミリー・クワッドリフトまでは約30m、コンビニまでも200mほどです。2つ目は客室の幅で、31㎡のホテルルームから244㎡の3ベッドルーム・ペントハウスまでそろい、一部の客室には温泉のバスや暖炉がつきます。3つ目は、館内に屋外の温水プールを備えていることです。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、斜面に直接出られる立地と客室の広さへの評価が高く、海外のファミリーやグループが何度も戻ってくる様子が読み取れる宿です。家具や設えの格調に触れる記述が多い一方、竣工から十数年を経た建物の古さに言及する声も一定数あります。公共の温泉浴場は季節営業のため、秋の閑散期に泊まる場合は開いている期間を確かめておきたいところです。
向く人 / 向かない人
- 向く: 子連れでスキーレッスンに通う家族、二家族で広いスイートを分け合うグループ、夏の温水プールと山歩きを組み合わせる旅
- 向かない: 秋の閑散期に共用の温泉を目当てにする人(10〜11月は営業期間外)、2名で予算を抑えたい旅程(スイートが中心で価格帯が高い)、新築の設えを求める人
具体情報
- アクセス: JR倶知安駅から約7.3km、新千歳空港から車で約2時間(約111km)
- 客室サイズ: 31〜244㎡(ホテルルーム〜3ベッドルーム・ペントハウス)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 館内に「Vale Bar & Grill」(朝・昼・夕食)
- 季節設備: 屋外温水プール、公共温泉(冬季12月20日〜4月15日)
- 竣工: 2009年12月
5. ニッコースタイルニセコ HANAZONO — 倶知安町
HANAZONOのゴンドラ脇に、2024年12月開業の234室。上層階では客室の浴室に天然温泉を引いています。
234室(スイート13室を含む)、リゾートホテル。
目安価格 ¥30,000–¥56,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
オークラ ニッコー ホテルズが2024年12月15日に開業させた、地上8階建て・234室のホテルです。ニセコエリアでは12年ぶりの日系ホテルとして話題になりました。推す理由の1つ目は、ニセコHANAZONOリゾートのゴンドラに隣接し、夏は緑のアクティビティ、冬はゲレンデの起点になる位置。2つ目は、サウナや露天を備えた天然温泉の大浴場に加え、上層階の客室の浴室にも温泉を引いていることです。3つ目は、4月から11月まで倶知安駅との間を無料シャトルが結び、車を借りなくても滞在が成り立つことです。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、新しい客室の清潔さと大浴場の評価が高く、クラブラウンジを使える客室での満足度が特に目立ちます。開業から日が浅いため件数はまだ多くありません。そのなかでも、海外からの家族客とアジアからのグループが夏と冬の両方に姿を見せている傾向が読み取れます。一方、HANAZONOには外食の選択肢が少なく、夕食は館内のオールデイダイニングに頼りがちになる点が指摘されています。
向く人 / 向かない人
- 向く: 温泉と山の両方を1か所で済ませたい2〜3名の旅、夏のジップラインやラフティングを軸にした家族旅、電車とシャトルで動く車なしの旅程
- 向かない: ひらふの夜の街で過ごしたい人(車かタクシーで移動が要る)、キッチン付きで自炊したい長期滞在者(キッチンがある客室は一部)、小規模な宿の静けさを望む人
具体情報
- 最寄り駅: JR倶知安駅から無料シャトルで約15分(4月1日〜11月30日)、タクシー約10分
- 客室サイズ: 28㎡〜(スーペリア)、デラックスは42㎡超
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: オールデイダイニング(122席、インターナショナル料理)
- 駐車場: 屋外無料2か所、地下有料(宿泊時 夏季2,000円・冬季3,000円/泊)
- 開業: 2024年12月15日
- 言語: 公式サイトは日本語・英語・中国語(簡体/繁体)・韓国語
よくある質問
Q. ニセコで雪のない季節に泊まる意味はありますか?
A. あります。6月から9月は、ゴルフ、ラフティング、ジップライン、サイクリングの季節です。10月は羊蹄山麓の紅葉が見頃を迎えます。5軒はいずれも通年で営業しており、秋の閑散期は冬の最盛期と比べて料金が大きく下がります。冬の滞在先を下見するなら、紅葉の時期の一泊が向いています。
Q. 英語での対応や予約は問題ありませんか?
A. 5軒とも公式サイトに英語版があります。ヒノデヒルズとチャトリウム、ザ・ヴェールは、英語を前提に運営されています。ニッコースタイルは中国語と韓国語、ニセコノーザンリゾート・アンヌプリは韓国語と中国語の案内も用意しています。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 泊まれます。複数の寝室とキッチンを持つヒノデヒルズ、チャトリウム、ザ・ヴェールは、家族での長期滞在に向いたつくりです。ニッコースタイルには、トランドルベッドを置いたファミリー向けの客室があります。ニセコノーザンリゾート・アンヌプリでは、家族で温泉とスキーを同じ宿で済ませられます。
Q. 最低泊数の決まりはありますか?
A. 秋の通常期は、1泊から予約できるプランが中心です。年末年始や2月の最盛期は、アパートメント型の宿を中心に連泊を条件とする期間が設けられることがあります。冬に泊まる場合は、各公式サイトで条件を確かめてください。
Q. 新千歳空港からのアクセスは?
A. 車でおよそ2時間から2時間半です。電車なら小樽で乗り換えてJR倶知安駅またはニセコ駅まで行き、そこからタクシーかホテルのシャトルを使います。冬季は、空港と各リゾートを結ぶ予約制のバスが運行されます。
本記事の参考情報
・ニセコユナイテッド公式サイト — 4つのスキー場の概要と営業期間
・ニセコリゾート観光協会 — ニセコエリアの四季の観光情報
・Wikipedia: Niseko United — ニセコユナイテッドの成り立ちと地理
・Wikipedia: The Vale Niseko — 建物の竣工と温泉の背景
編集部から
今回の5軒に共通しているのは、雪を理由に建てられながら、雪が消えたあとの季節にも滞在の理由を用意している点です。キッチンのあるスイート、館内の温泉、村の中を走るシャトル、ゴンドラ脇の緑のアクティビティ。どれも冬の設備として生まれ、夏と秋の滞在を支える装置へと役割を広げてきました。10月の紅葉が過ぎると、ニセコは初雪までの短い静けさに入ります。ひらふの坂を歩く人が減り、羊蹄山の頂が白く縁取られはじめる時期です。冬の予約を決める前に、この静けさの中に一度泊まっておく。すると、同じ宿が冬にどんな顔を見せるのかを、ずっと具体的に思い描けるようになるはずです。あなたなら、雪のない季節のニセコで、どの麓に最初の一泊を置くでしょうか。