屋久島で一泊、種子島で二泊の3泊4日を、冬ダイヤの高速船に合わせて組むなら、宿は尾之間の岬に建つsamana hotel Yakushima、西之表港に近いホテル・レクストン種子島、森の谷に二棟だけのドームを置く星流峡の3軒になる。大隅海峡の南、同じ高速船の航路で結ばれながら、屋久島はモッチョム岳の岩壁が海際まで迫る山の島、種子島は低い台地がどこまでも畑と砂浜へほどけていく平らな島だ。十月から二月までの冬ダイヤでは、屋久島の安房港から種子島の西之表港へ渡る便が一日四便ある。種子島で安納芋の収穫が進む晩秋、森を歩く朝と岬へ向かう午後を一つの旅程に収める。

泊 宿 エリア 客室 目安価格 1行特徴
1泊目 samana hotel Yakushima 屋久島町尾之間 43 ¥37–¥44k 海に突き出た岬の上、背後にモッチョム岳。源泉かけ流しの展望風呂を持つ
2泊目 ホテル・レクストン種子島 西之表市 108 ¥16–¥18k 西之表港から車で約5分。無料送迎と夕方の市街地送りで、島に着いた夜を軽くする
3泊目 星流峡 西之表市 2棟 ¥14k前後 森と渓流に囲まれたドームハウス2棟だけのB&B。天体望遠鏡を無料で貸し出す
↕︎ 地図右下の角をドラッグすると高さを調整できます


※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

Day 1|鹿児島本港から安房へ — 西之表を経由して山の島に入る

冬ダイヤの初日は、鹿児島本港を10:00に出る114便に乗る。錦江湾を南へ抜け、いったん種子島の西之表に寄ってから、屋久島の東岸・安房港に12:40に着く。二日後に戻ってくる港を、往路の窓から一度だけ見ておく順路になる。安房から島の南端・尾之間までは路線バスで660円、タクシーなら5,500円からの距離。港を離れると、道は海沿いの集落を縫い、右手にモッチョム岳の花崗岩の岩壁が近づいてくる。初日は山へ入らない。岬の宿に荷を解き、日が傾くまで湯とテラスで過ごす。

1泊目|samana hotel Yakushima — 屋久島町尾之間

前に太平洋、振り向けばモッチョム岳。屋久島の南端の岬で、山と海の両方に向き合う43室。

43室、温泉リゾートホテル。

目安価格 ¥37,000–¥44,000 / 泊 (2名1室・通常期)


samana hotel Yakushima — 屋久島町尾之間 · 太平洋に突き出た岬の上に建ち、背後に照葉樹の森が続く温泉ホテルの外観
PHOTO: samana hotel Yakushima — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

一泊しかない屋久島で、山と海のどちらも手放さずに済む立地が決め手になる。1971年の国民宿舎、2005年のJRホテル屋久島を経て、2024年4月にsamana hotel Yakushimaとしてリブランド開業した。客室は30㎡のスタンダードツインから、源泉かけ流しの展望風呂を備えた60㎡の温泉スイートまで。地下800メートルから湧くアルカリ性単純温泉(pH9.5)の露天風呂、夕食はライブキッチンを備えたビュッフェ、崖の上の展望テラス。料理はsankara hotel & spa 屋久島の総料理長が監修する。一泊二食で完結できることが、翌朝早く森へ向かう旅程と噛み合う。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価は料理全般、客室からの眺め、湯の質、スタッフの応対、朝食ビュッフェに集まっている。とりわけ眺望と温泉を合わせて語る記述が多く、岬の立地がそのまま滞在の記憶になっている様子が読み取れる。一方で否定的な言及は件数自体が少なく、目立つのは価格に関するもの。島の中では上の価格帯に属するため、食事と湯を含めた一泊の総額で納得できるかが分かれ目になる。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    屋久島に一泊しか割けないが温泉と食事は妥協したくない旅、子ども連れを含む家族旅(貸出品に車椅子もある)、翌朝ヤクスギランドへ車で向かう旅程
  • 向かない:
    縄文杉を日帰りで目指す旅程(荒川登山口行きのバスは5:06発で乗り換えがある)、個室の会席や小規模な宿の親密さを求める人、1泊2名2万円台に収めたい旅

具体情報

  • 所在地: 鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間136-2(ホテル前にバス停「サマナホテルヤクシマ」)
  • アクセス: 安房港から路線バス660円/タクシー5,500円〜、屋久島空港から路線バス1,030円/タクシー8,800円〜
  • 客室: 全43室。スタンダードツイン30㎡、温泉スイート60㎡(客室に源泉かけ流しの展望風呂)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 夕食はライブキッチン付きビュッフェ(17:30〜21:30)、朝食ビュッフェ(2026年9月20日から当面7:00〜10:00に短縮)
  • 温泉: アルカリ性単純温泉 pH9.5。宿泊者は5:30〜10:30と15:00〜24:00に利用可
  • リブランド: 2024年4月26日(前身は2005年開業のJRホテル屋久島)
  • その他: 屋久島の環境保全に充てる「サマナ基金」として大人1名1滞在200円を宿泊料に加算


Day 2|ヤクスギランドの朝から西之表へ — 森を歩いて、昼の船に乗る

二日目の朝は、標高1,000〜1,300メートルに広がるヤクスギランドへ。30分から210分まで五つの散策コースがあり、木道の整った30分コースなら、昼の船に間に合わせながら苔むした屋久杉の森を歩ける。台風24号のあと山間部の県道に通行止めが出ているため、道路情報は前夜のうちに確認しておく。レンタカーで向かい、返却を安房港周辺で済ませられるかは予約時に確かめておきたい。バスを使うならホテル前8:36発で乗り換えがあるが、戻りの便の時刻から、この日の旅程には合わない。安房港12:55発の128便に乗れば、種子島の西之表港には13:50に着く。所要55分、大人片道6,200円。船を降りると、海の色は同じでも、地平の線が急に低くなる。

2泊目|ホテル・レクストン種子島 — 西之表市

港から送迎で5分、夕方には市街地へ送ってくれる。船を降りた日の夜を身軽にするための108室。

108室、ビジネスと観光を兼ねるホテル。

目安価格 ¥16,000–¥18,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテル・レクストン種子島 — 西之表市 · 西之表港から車で約5分、1階にレストランとコインランドリーを備えたホテルの外観
PHOTO: ホテル・レクストン種子島 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

リゾートとして選ぶ宿ではない。それでも、島に着いた日の夜を港町に置く理由がこのホテルにはある。西之表港からの無料送迎(要予約)、夕方17:50から30分おきに出る市街地への片道送り、24時間のコインランドリー。森を歩いた服をその日のうちに洗い、港近くの食事処で夕食を取り、翌朝レンタカーで南へ下る。2名ならダブル15㎡、ツイン18㎡、デラックスツイン22〜25㎡、最上階のスイート36㎡から選ぶことになる。屋久島の一泊に予算を寄せた分を、ここで釣り合わせる配分だ。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、評価が集まるのは大浴場、客室の清潔さ、港との送迎、立地の便利さ。スタッフの送迎対応に触れた記述が多く、船で着く旅行者にとって実用面の評価が高い宿であることが分かる。一方で大浴場は不満側にも一定数現れ、男性専用であることが女性客の評価を分けていると読める。客室のコンセントの数や浴室の狭さへの指摘もあり、長く部屋にこもる滞在より、寝る場所として割り切る使い方に向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    船で到着してそのまま島に入る旅程、翌朝早くレンタカーで南部へ向かう人、洗濯をはさみたい連泊の途中
  • 向かない:
    女性だけの旅で大浴場を楽しみにしている人(大浴場・サウナは男性専用)、海の見える客室を期待する人、宿での夕食を旅の中心に置きたい人

具体情報

  • 所在地: 鹿児島県西之表市西之表16069
  • アクセス: 西之表港から車で約5分(無料送迎バス・要予約)、種子島空港から車で約30分、種子島宇宙センターまで車で約70分
  • 客室: 全108室。シングル12㎡(84室)、ツイン18㎡、ダブル15㎡、デラックスツイン22〜25㎡、スイート36㎡
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 1階のファミリーレストランで朝食。夕食は市街地への片道送り(17:50〜19:50発)を利用できる
  • 館内: 男性専用の大浴場・サウナ(6:00〜9:30、12:00〜24:00)、24時間コインランドリー、屋外シャワーブース


Day 3|島の南端へ下り、森の谷へ戻る — ロケットの岬と芋の畑

三日目は、港でレンタカーを借りて島を縦に走る。西之表から種子島宇宙センターまでは車で約70分。道の両側には、晩秋なら掘り上げの進む安納芋の畑とサトウキビが続く。宇宙センター内の宇宙科学技術館は9:30〜16:30の開館で入館無料、月曜は休館(祝日の場合は翌日)、打上げ時にも閉まることがあるため、曜日は旅程を組む段階で確かめておく。技術館を出たら、鉄砲伝来の地として知られる門倉岬へ。島の最南端に突き出た岬の先で、午後の光が海面を白く照らす。日が落ちる前に北へ戻り、西之表の港と空港のあいだ、森の谷にある小さな宿に入る。

3泊目|星流峡 — 西之表市

森と渓流に囲まれた谷に、ドームハウスが二棟だけ。種子島の最後の夜を、星の下で過ごすためのB&B。

ドームハウス2棟、B&B。

目安価格 ¥14,000前後 / 泊 (2名1室・通常期)


星流峡 — 西之表市 · 森の谷に建つ2棟のドームハウスと、その上に広がる夜空の天の川
PHOTO: 星流峡 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

旧名は民宿 清流峡。いまは「満天の星がきれいな宿」を掲げ、西之表の市街地から離れた谷で、1棟1〜4名のドームハウス2棟だけを貸す。発泡ポリスチレン製のドームは断熱性が高く、室内にバス・トイレ・洗面、冷凍冷蔵庫と電子レンジまで揃う。宿泊者には天体望遠鏡と、スマートフォンで星空を撮るためのホルダー付き三脚を無料で貸し出している(敷地内のみ)。周囲に街の灯りがないことが、この宿の最大の設備と言える。港まで南へ約15分、空港まで北へ約15分という位置も、最終日の朝をゆるやかにする。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、件数はまだ少ないものの、評価は周囲の自然環境、食事、清潔さに集まっている。二棟だけという規模から、他の客の気配を感じずに過ごせることが滞在の核になっている様子がうかがえる。否定的な傾向として目立つものは現時点で読み取れないが、市街地から離れた立地ゆえ、買い出しや夕食は車で出る前提になる点は、事前に織り込んでおきたい。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    星空を目的に置く旅、家族や小さなグループで一棟を使いたい人(1棟4名まで)、最終日に港か空港へ短時間で出たい旅程
  • 向かない:
    車を使わない旅(公式サイトも車がなければ不便と明記)、宿で夕食を取りたい人(朝食のみ)、ベッドを大きいサイズで使いたい人(シングル4台で変更不可)

具体情報

  • 所在地: 鹿児島県西之表市西之表12884-1
  • アクセス: 西之表港から南へ車で約15分、種子島空港から北へ車で約15分
  • 客室: ドームハウス2棟(1棟1〜4名、シングルベッド4台)、全館禁煙
  • チェックイン: 15:00〜21:00 / アウト 〜10:00
  • 食事: 併設の食堂で朝食7:00〜9:00(素泊まりに追加する場合は前日17:00までに申し込み)
  • 貸出: 天体望遠鏡、スマートフォン用ホルダー付き三脚(無料・敷地内のみ)


Day 4|西之表から鹿児島へ — 帰りの船を朝に決める

最終日は、宿のチェックアウトが10:00。港まで約15分なので、西之表港11:10発の112便に乗れば鹿児島本港に12:50に着く。大人片道12,000円。早起きできれば、チェックアウト前に宿の周辺案内にも載る北部の浦田海水浴場まで足を延ばし、白い砂浜で島の最後の朝の光を見ておくのもいい。飛行機で帰る場合は、宿から種子島空港まで約15分。冬ダイヤでは曜日運航や年末年始の運休がある便も含まれるため、帰りの便は旅程を組む段階で決めておきたい。

よくある質問

Q. 屋久島1泊で、森の散策と種子島への移動を両立できますか。

A. 可能ですが、歩く距離を絞る前提になります。本記事の旅程では、2日目の朝にヤクスギランドの30分コースを歩き、安房港12:55発の高速船で種子島へ渡ります。縄文杉や白谷雲水峡のような長いトレッキングを入れるなら、屋久島を2泊に延ばすのが現実的です。

Q. 冬ダイヤの高速船は、屋久島と種子島のあいだに何便ありますか。

A. 2026年10月1日〜2027年2月28日の冬ダイヤでは、屋久島から種子島へ1日4便(安房7:00、宮之浦10:05、安房12:55、宮之浦15:45発)が運航します。所要は45〜55分、大人片道6,200円です。便によって発着港が安房と宮之浦に分かれるため、宿の位置と合わせて選びます。

Q. この時期のベストシーズンは。

A. 本記事は晩秋を想定しています。種子島では安納芋の収穫期(9月下旬〜12月上旬)にあたり、畑の風景に島の季節が表れます。海水浴やウミガメの季節は初夏から夏で、その時期に同じ航路を組む場合は夏ダイヤの時刻を確認してください。

Q. 子ども連れでも回れますか。

A. 回れます。samana hotel Yakushimaは子ども連れを含む幅広い層を想定したリニューアルを経ており、温泉も刺激の少ない泉質です。星流峡のドームハウスは1棟4名までで、オムツポットも備えています。高速船は小学生が大人運賃の半額です。

Q. 英語での滞在は可能ですか。

A. samana hotel Yakushimaは英語の公式サイトと予約ページを持ちます。種子島の2軒は日本語中心の案内です。高速船会社も海外からの旅行者向けの問い合わせ窓口を案内しているため、乗船予約は早めに済ませておくと安心です。

本記事の参考情報

編集部から

屋久島と種子島は、航路にすれば一時間足らずの距離にある。それでも二つの島は、滞在の組み立て方をまるで変えてくる。山の島では、宿を起点に森へ上がる時間をどれだけ確保するかが問われ、平らな島では、車で南北に長い海岸線をどう走るかが問われる。今回は屋久島に温泉と食の揃った岬の宿を置き、種子島では港町の実用的な一夜と、森の谷の静かな一夜を並べた。予算の重心を片方の島に寄せる設計である。冬ダイヤの時刻表を片手に、次はどちらの島に二泊を充てるだろうか。

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