東シナ海に正対する恩納村の高台に、2027年夏、フォーシーズンズが沖縄で最初の一軒を開く。旧・米軍恩納通信所の跡地、約13万平方メートル。かつてアンテナが海風を受けていた斜面を、建築家・隈研吾が海への傾斜として読み替え、ホテル127室と28棟のヴィラ、そしてレジデンスへと置き換えていく。これは開業直後の速報ではない。地形が建築に変わる前夜——2024年春に起工式を終え、いま基礎が刻まれつつある一軒を、緯度と室数と敷地面積という数値と、設計の思想から一度だけ深く読む記事である。

項目 内容
名称 フォーシーズンズ リゾート アンド プライベートレジデンス 沖縄
所在 沖縄県国頭郡恩納村(西海岸・旧米軍恩納通信所跡地)
敷地面積 約13万平方メートル超(低層・低密度)
構成 ホテル127室/ヴィラ28棟/レジデンス124戸(計 約280キー)
設計 隈研吾+国建(沖縄)/ランドスケープ EDSA
開発・運営 開発・所有 ベルジャヤ・グループ/運営 フォーシーズンズ
起工・開業 2024年3月起工式/2027年夏 開業予定
位置 北緯 約26.50度・東経 約127.85度/那覇空港から北東へ約50km

※ 本記事は開業前の計画・起工段階の情報に基づく。室数・構成・開業時期は今後変更される可能性がある。価格帯は開業後に確定するため、確定料金の記載はない。


フォーシーズンズ リゾート アンド プライベートレジデンス 沖縄 — 恩納村・旧米軍恩納通信所跡地 · 2024年3月の起工式
PHOTO: 2024年3月の起工式(開発主体ベルジャヤ・グループ公式資料より)— フォーシーズンズ公式サイトを見る →

土地の来歴——アンテナの丘から、渚へ

恩納村は、那覇から名護へと北上する西海岸の中ほどにある。真栄田岬の青の洞窟、万座毛の琉球石灰岩の断崖、点在するリゾートビーチ。海のレジャーで名高いこの村の高台に、長らく在日米軍の恩納通信所が置かれていた。海に開けた見晴らしと風の通りは、通信施設にとっての適地であり、そのまま海を望む滞在地としての条件でもある。返還された跡地に、いま国際ブランドの一軒が立ち上がろうとしているのは、偶然ではない。眺望という資源が、用途を替えて受け継がれていく。

起工式が行われたのは2024年3月。斜面に建つ計画のため、造成はまず地形の高低差をどう残すかから始まった。海抜を刻む段々の上に建物を分散させ、渚との距離を棟ごとに変える——設計の要点は、この土地がもともと持っていた傾斜をどれだけ生かせるかにある。

隈研吾の翻訳——地形を建築に置き換える

設計を率いるのは、新国立競技場などで知られる隈研吾。沖縄の設計事務所・国建と組み、ランドスケープには米国のEDSAが加わる。低層・低密度を旨とし、棟と棟のあいだにゆとりを取る配置は、フォーシーズンズが世界のリゾートで積み重ねてきた作法であると同時に、隈が一貫して掲げてきた「大きな塊を作らず、環境に溶かす」思想と重なる。

海に正対する斜面を、どの高低差で刻むか。独立棟のヴィラを、渚からどの距離に置くか。この二つの問いが、開業前のいま最も読み応えのある論点である。全体は徒歩・自転車・ゴルフカートで巡れる一体の集落として構想され、9階建てのホテル棟を核に、28棟のヴィラとレジデンスが斜面に散る。木や石といった素材の質感を通して、建築を風景の側へ寄せていく——起工の段階でその輪郭が、造成の断面からうっすらと見え始めている。

数字で読む一軒——室数・敷地・緯度

約13万平方メートル超の敷地に、ホテル127室、ヴィラ28棟、レジデンス124戸。合わせて約280キーという規模は、客室数だけを見れば大型に映るが、敷地面積で割れば一棟あたりの占有はむしろ広い。低密度という言葉の実像は、この割り算のなかにある。当初2019年の発表では120室・ヴィラ40棟・レジデンス120戸という構成だったから、計画は開発の過程で客室を増やしヴィラを絞る方向へ調整されたことになる。数字の推移そのものが、事業の設計思想の変化を映している。

位置は北緯約26.50度、東経約127.85度。台湾の北端とほぼ同緯度で、亜熱帯の光と海の色がこの数値に宿る。那覇空港から北東へ約50km、高速道路で結ばれ、万座毛はほど近い。総事業費は約1,000億円規模と伝えられ、開発・所有はマレーシアのベルジャヤ・グループ、運営はフォーシーズンズが担う。

開業後に立ち上がる滞在

計画に描かれる設備は、屋内外のプール、ビーチクラブ、サンセットバー、複数のレストラン、シグネチャースパ、ウェディングチャペル、キッズクラブ、ボールルームと会議機能。海の時間を軸に、朝は珊瑚礁の上のラグーンへ、夕はサンセットバーで西陽の色が変わるのを待つ——そんな滞在の骨格が読み取れる。レジデンスとヴィラを併せ持つ複合型であることは、数泊の旅だけでなく、より長い滞在や二地域居住を視野に入れた設計であることを意味する。

これらはあくまで計画上の姿である。開業までに細部は変わりうるし、実際の滞在の質は運営が始まってからしか測れない。本稿が記録するのは、その手前——渚と斜面という素材に、どんな滞在が仕込まれようとしているか、という段階の輪郭である。

立地と周辺——万座毛、西海岸、ブルーゾーン

恩納村の西海岸は、沖縄本島のリゾートが最も濃く集まる帯である。万座毛の断崖、真栄田岬のダイビングポイント、点在するビーチ。読谷や北谷の街、世界遺産の座喜味城跡や勝連城跡も日帰り圏にある。そして沖縄は、世界に数か所しかない「ブルーゾーン」——長寿と健康寿命で知られる地域——の一つに数えられる。ウェルネスを核に据えるフォーシーズンズにとって、この土地の物語は設計以前からの資産と言える。

こんな旅人に

  • 開業前から一軒の成り立ちを追い、建築と地形の関係を読むことに関心のある旅人
  • 数泊の休暇に加え、ヴィラやレジデンスでのより長い滞在・二地域居住を検討する層
  • 海前ロケーションと低密度のプライバシー、国際ブランドの運営を同時に求める旅程
  • 2027年夏以降、沖縄西海岸で記念日や長期の滞在を計画する家族・カップル

編集部注目度(開業前・暫定)

Media Picks Score: 90 / 100 ※ 開業前・レビュー集計前のための暫定値

本来のMedia Picks Scoreは、公開レビューデータを集計した客観指標に編集部の評価を重ねて算出する。だが本件は2027年開業予定の一軒であり、集計対象となる滞在の記録がまだ存在しない。ここに示す90という数値は、立地(西海岸・海に正対する高台)、設計思想(隈研吾+EDSAによる低密度計画)、ブランドの国際的な運営力、そして敷地規模という、開業前に確認できる要素だけから編集部が置いた暫定の期待値である。正式なスコアは、開業後に滞在の集計が蓄積した段階で改めて更新する。

よくある質問

Q. いつ開業しますか?

A. 2027年夏の開業を予定している。起工式は2024年3月に行われ、現在は工事段階にある。開業時期は工程により前後する可能性があるため、確定情報は公式発表を確認したい。

Q. 部屋数と構成は?

A. 計画ではホテル127室、ヴィラ28棟、レジデンス(コンドミニアム)124戸で、合わせて約280キー。約13万平方メートル超の敷地に低層・低密度で分散配置される。2019年発表時は120室・40ヴィラ・120戸で、その後現行の構成に更新された。

Q. アクセスは?

A. 那覇空港から北東へ約50km、高速道路で結ばれる恩納村の西海岸に位置する。万座毛にほど近い高台で、車移動が基本となる。空港からの所要は道路事情により概ね1時間前後が見込まれる。

Q. 子連れでも滞在できますか?

A. 計画にはキッズクラブや複数のプール、ビーチクラブが含まれ、家族滞在を想定した施設構成となっている。ヴィラやレジデンスは独立性が高く、小さな子ども連れや三世代の旅程にも向く設計と読める。

Q. 価格帯はどのくらいですか?

A. 開業前のため確定料金は公表されていない。国際ラグジュアリーブランドの沖縄旗艦として、ウルトララグジュアリーの価格帯に位置づく見込みだが、確定値は開業後の発表を待つことになる。

本記事の参考情報

OKITIVE(沖縄テレビ) — 起工式・計画概要の報道
ファッションプレス — 施設構成・開業予定の解説
Wikipedia: 万座毛 — 周辺地形と景観の背景
Wikipedia: 恩納村 — 地理・歴史の背景

編集部から

完成した建築を評するのはたやすい。難しいのは、地形がまだ地形のまま残っている段階で、その一軒が何を選ぼうとしているかを読むことである。海に正対する斜面をどの高さで刻み、独立棟を渚からどれだけ離すか——起工の段でしか見えない判断が、2027年夏には風景の一部として当たり前に佇んでいるだろう。本稿は、その置き換えの前夜を書き留めた一篇である。開業後、実際の滞在がこの計画をどう裏切り、どう超えるのか。沖縄西海岸の次の一軒を、続けて追っていきたい。

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