津軽海峡を見下ろす坂の街、函館。元町の急斜面から海まで路面電車一本で降りられる距離感のなかに、欧米クルーズ船の寄港増を背景に外国人ゲスト比率を伸ばしている小規模宿が点在している。長崎の港町を別記事で扱ったが、北海道側の対比軸として、坂と海峡と英語応対の質を選定軸に5軒を選んだ。

# ホテル エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 HAKODATE 男爵倶楽部 函館ベイエリア 95 52 ¥33–¥55k 全室リビング+バルコニー、港湾を望む長期滞在型レジデンス
2 HakoBA 函館 by THE SHARE HOTELS 末広町・元町 92 65 ¥12–¥22k 1932年築の旧安田銀行を改装、ドミトリーから個室まで多層的
3 ラ・ジョリー元町 by WBF 十字街・元町 91 30 ¥15–¥23k 市電十字街電停徒歩1分、貸切風呂と50種類の朝食ビュッフェ
4 FAV 函館 函館駅・大手町 90 30 ¥30–¥50k キッチン付き客室、朝市まで30秒の長期滞在対応
5 函館元町ホテル 元町・新撰組屯所跡 88 27 ¥21–¥30k 歴史的建造物群保存地区の中心、坂と教会群を徒歩で巡る

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

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1. HAKODATE 男爵倶楽部 HOTEL&RESORTS — 函館ベイエリア

港湾の西陽が客室バルコニーを染める頃、男爵倶楽部の「街が食卓」という設計思想がはっきりと姿を現す。

Media Picks Score: 95 / 100  52室、レジデンス型ホテル。

目安価格 ¥33,000–¥55,000 / 泊 (2名1室・通常期)


HAKODATE 男爵倶楽部 — 函館ベイエリア · 全室リビング・キッチン・ビューバス・バルコニー仕様のレジデンス型ホテル
PHOTO: HAKODATE 男爵倶楽部 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

明治期に函館に深く関わった川田龍吉男爵の名を冠したこのホテルは、敢えて館内レストランを置かず「街が食卓」という滞在思想で建てられている。全室にリビング、キッチン、ビューバス、バルコニーが標準装備。金森赤レンガ倉庫まで徒歩圏で、欧米クルーズ船が着岸する若松埠頭からも近い。長期滞在と短期観光の両方を、同じ平面のなかで受け止める設計が珍しい。

集約レビューの傾向

公開レビューの集約傾向では、客室の広さ、バルコニーからの港湾眺望、地元店舗との連携サービスへの評価が反復して現れる。一方で、館内レストランを持たない設計はディナーを宿で完結させたい層には合わない。フロントの英語応対と提携店マップの整備が、クルーズ寄港時の外国人ゲスト層の支持を集めている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    函館に2泊以上する旅程、自分のペースで食を選びたい滞在型旅、家族や少人数のグループ、クルーズ前後の前後泊
  • 向かない:
    館内ダイニングで夕食を完結させたい人、車を使わず雪道を歩きたくない冬期の高齢旅行者

具体情報

  • 最寄り駅: 市電「十字街」から徒歩 約7分、JR函館駅から徒歩 約12分
  • 客室サイズ: 約46〜100㎡(リビング・キッチン・バルコニー標準装備)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 館内レストランなし(提携店マップ配布、朝食は近隣カフェ提携)
  • 付帯施設: 大浴場、全室ビューバス、自走式駐車場


2. HakoBA 函館 by THE SHARE HOTELS — 末広町・元町

1932年に安田銀行函館支店として建てられた重厚な躯体に、ドミトリーから個室まで多層的な宿泊形態を畳み込んだ一軒。

Media Picks Score: 92 / 100  65室、リノベーション型ホテル。

目安価格 ¥12,000–¥22,000 / 泊 (2名1室・通常期)


HakoBA 函館 by THE SHARE HOTELS — 函館市末広町 · 1932年築の旧安田銀行を改装した歴史的躯体のホテル
PHOTO: HakoBA 函館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

金森赤レンガ倉庫まで徒歩数分、市電「末広町」から1分という立地に、安田銀行→富士銀行→ホテルニューハコダテと用途を変えてきた1932年築の建物を再生したホテル。THE SHARE HOTELS のブランド共通である「SHARING WITH LOCALS」という地域共生コンセプトが、ドミトリーから個室、メゾネット型客室まで多様な滞在形態を一棟に収める設計に表れている。元町の坂を歩いて教会群を巡り、夕方に港に戻る動線の起点として機能する。

集約レビューの傾向

公開レビューを集約すると、歴史的建造物の重厚さ、英語を含む多言語対応の質、共用ラウンジでの旅人同士の交差点機能への評価が浮かび上がる。設備の新しさを最優先する層には合わない一方、函館の街並みのコンテクストを含めて滞在を選びたい層から強く支持されている。バックパッカーからファミリーまで幅広い客層が混在することへの賛否はあるが、その混在こそがブランドの設計意図でもある。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    建築・歴史好きの一人旅、英語で交流したい海外ゲスト、元町と港の往復を歩きたい旅程
  • 向かない:
    静謐を最優先する記念日旅、最新設備を求める層、館内に外湯や温浴を望む人

具体情報

  • 最寄り駅: 市電「末広町」から徒歩 約1分、金森赤レンガ倉庫まで徒歩 約3分
  • 客室タイプ: シングル、ツイン、メゾネット、ドミトリー、グループ向け客室など多層
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 朝食オプション制、館内カフェ・ラウンジあり
  • 開業: 2017年5月(建物の竣工は1932年、複数銀行を経て改装)
  • 言語対応: 英語可(多国籍スタッフ配置)


3. ラ・ジョリー元町 by WBF — 十字街・元町

市電「十字街」電停から徒歩1分。元町の坂と港の動線が交わる角に立つ、30室の小規模ホテル。

Media Picks Score: 91 / 100  30室、シティホテル。

目安価格 ¥15,000–¥23,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ラ・ジョリー元町 by WBF — 函館市末広町 · 市電十字街電停徒歩1分の30室小規模ホテル
PHOTO: ラ・ジョリー元町 by WBF — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

函館山ロープウェイまで徒歩約7分、金森赤レンガ倉庫まで徒歩約3分、市電「十字街」電停から徒歩1分という立地は、函館の主要観光動線の交差点そのものだ。客室30室の小規模さに対して、貸切風呂と50種類以上の朝食ビュッフェを揃えた運営は、ビジネスホテルの簡素さとリゾートの寛ぎの中間に位置する。海鮮丼コーナーを含む朝食は、函館朝市まで足を運べない旅程の埋め合わせとして機能している。

集約レビューの傾向

立地の良さに加え、貸切風呂と朝食ビュッフェへの評価が公開レビューでは反復して現れる。客室サイズはコンパクトで、設備重視の層からは「広さは普通」という評価も出る。電停徒歩1分という動線の便利さが、夜の散策・早朝の朝市行きの両方で時間効率に効くという指摘が多い。クルーズ寄港地観光の前後泊として使う層、市電一本で函館駅と元町を往復したい層に支持されている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    函館初訪問で観光地を効率的に巡る旅程、貸切風呂を重視するカップル、朝食重視の旅
  • 向かない:
    広い客室で過ごす長期滞在、海峡を直接見下ろす高層階を求める人、徹底した静謐を望む人

具体情報

  • 最寄り駅: 市電「十字街」電停から徒歩 約1分、JR函館駅から市電で約10分
  • 客室サイズ: 約18〜30㎡
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 朝食ビュッフェ(海鮮丼コーナー含む50種類以上)、夕食なし
  • 付帯施設: 貸切風呂2室


4. FAV 函館 — 函館駅・大手町

函館朝市まで徒歩30秒、JR函館駅から徒歩3分。キッチン付き客室で長期滞在に対応した、新興リゾートブランドの一軒。

Media Picks Score: 90 / 100  30室、レジデンス型ホテル。

目安価格 ¥30,000–¥50,000 / 泊 (2名1室・通常期)


FAV 函館 — 函館市大手町 · 函館朝市徒歩30秒、キッチン付き客室の長期滞在型ホテル
PHOTO: FAV 函館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

2022年8月に開業した比較的新しいホテル。JR函館駅から徒歩3分、函館朝市まで徒歩30秒という立地は、北海道新幹線開業後に函館を経由する欧米個人旅行者の動線に正面から噛み合う。キッチン付きの客室は、朝市で買った海産物を部屋で調理して食べる滞在スタイルを可能にし、これは函館特有の体験軸を打ち出している。新築ゆえの設備の新しさと、駅・港・市電の三点アクセスが、クルーズ前後の前後泊にも適している。

集約レビューの傾向

公開レビューの集約では、立地(駅至近・朝市至近)の評価が支配的だ。新築のため設備への評価も高い一方、キッチンを使わない短期滞在ではその価値が活きないという指摘もある。子連れ・家族層からは、自炊が可能で食事のリズムを子供に合わせられる点で評価が高い。フロントの英語対応は比較的安定しており、訪日リピーターの活用が伸びている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    朝市で買った食材を自炊したい旅人、家族での3泊以上の滞在、新築設備を重視する層
  • 向かない:
    館内ダイニングで完結したい人、歴史的建造物に泊まりたい層、元町中心の動線を望む旅程

具体情報

  • 最寄り駅: JR函館駅から徒歩 約3分、函館朝市まで徒歩 約30秒
  • 客室サイズ: 約30〜60㎡(キッチン・調理器具・冷蔵庫標準装備)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 館内カフェ&バーあり、客室キッチンでの自炊可
  • 開業: 2022年8月


5. 函館元町ホテル — 元町・新撰組屯所跡

新撰組の屯所跡地に立つ、元町歴史的建造物群保存地区の中心部の27室。坂と教会群を歩いて巡る旅程の起点に向く。

Media Picks Score: 88 / 100  27室、小規模ホテル。

目安価格 ¥21,000–¥30,000 / 泊 (2名1室・通常期)


函館元町ホテル — 函館市元町 · 新撰組屯所跡地に立つ27室の小規模ホテル
PHOTO: 函館元町ホテル — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

立地は元町の歴史的建造物群保存地区の中心。八幡坂、二十間坂、基坂、大三坂といった海峡へ向かう坂の集積地に位置し、ハリストス正教会、カトリック元町教会、聖ヨハネ教会といった教会群を徒歩数分で巡れる。客室27室と小規模で、観光地のど真ん中にありながら騒がしさを抑えた運営が特徴。建物自体が新撰組の屯所跡という史的文脈を持ち、夕方の坂道散策から戻ったときの帰着感が強い。

集約レビューの傾向

公開レビューでは、立地の良さと小規模ゆえの落ち着きへの評価が反復する。設備の真新しさよりも、元町の街並みのなかに溶け込む立ち姿を評価する層に選ばれている。客室サイズはコンパクトで、滞在型より観光ハブ型として機能する。フロントの応対は丁寧で、欧米クルーズ客がドック&ウォーク観光で立ち寄る際の道案内拠点としても活用されている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    元町の坂と教会群を歩いて巡る旅、歴史地区の文脈を含めて滞在を選ぶ層、1〜2泊の観光旅程
  • 向かない:
    広い客室を求める長期滞在、海峡を直接見下ろす眺望が必須の人、館内ダイニングを重視する旅

具体情報

  • 最寄り駅: 市電「末広町」「大町」から徒歩 約5〜7分
  • 客室サイズ: 約16〜30㎡
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 朝食付プランあり、夕食なし
  • 歴史的文脈: 新撰組の屯所跡地、元町歴史的建造物群保存地区内


よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 欧米クルーズ船の寄港が集中するのは5月〜10月で、特に7〜8月は函館港まつりや花火大会と重なるため宿の競争が激しい。海峡からの北風が和らぐ晩春から初秋が、坂と港を徒歩で繋ぐ滞在には適している。冬は冷え込みが厳しいが、雪に覆われた元町の教会群と港の灯りは編集部が静かに推す季節でもある。

Q. 予約のタイミングは?

A. クルーズ寄港日と週末の重なる日程は2〜3ヶ月前の予約が現実的。HAKODATE 男爵倶楽部とFAV 函館は客室数が少なく、夏季のキャンセル料発生時期も早いため早期確保が確実だ。冬季の平日は直前でも空きがあることが多い。

Q. 英語対応はどうですか?

A. HakoBA 函館は多国籍スタッフを配置しており、英語応対が最も安定している。FAV 函館とラ・ジョリー元町もフロント英語対応可。函館元町ホテルと男爵倶楽部は基本的な英語対応と書面案内が中心で、複雑な要望は事前メールで詰めるのが確実だ。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. キッチン付きで自炊が可能なFAV 函館と男爵倶楽部は家族滞在に向く。HakoBA 函館はメゾネット型客室が家族での利用に対応。ラ・ジョリー元町と函館元町ホテルは小規模で、子連れ可だが家族向け設備は控えめ。

Q. 港・海峡を見下ろせる客室はありますか?

A. 男爵倶楽部のオーシャンウィング上層階バルコニーが最も港湾を望む立地。HakoBA 函館の上層階からも金森赤レンガ倉庫と港湾が見える。函館元町ホテルとラ・ジョリー元町は坂上に位置するが、客室の方角次第で海峡の一部が望める。FAV 函館は駅前のため港眺望は限定的だ。

本記事の参考情報

函館市公式観光情報サイト「はこぶら」 — 元町歴史地区と港湾の観光情報
Wikipedia: 元町(函館市) — 元町歴史的建造物群と地理の背景

編集部から

長崎の港町と函館の港町は、開港期の歴史と異国情緒を共有しながらも、地形と季節の感覚が大きく異なる。函館の坂は海峡へ向かって急に下り、北からの風が街の輪郭を引き締めている。今回の5軒は、その地形と気候のなかで欧米クルーズ寄港を受け止め、英語応対の質と港の眺望、元町の動線をそれぞれ違った重みで設計している。次は冬の函館・湯の川温泉エリアで、海峡を望む和の宿を集めて比較したい。

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