麻布台ヒルズの中央、森ビルが10年をかけて造成した街区の中心に、122室のホテルが建っている。Aman の創業者エイドリアン・ゼッカが立ち上げた新ブランド Janu の世界第1号。アジアの大都市の中心にあって、それでも社交的な静けさを持つ滞在を、東京タワー側を望む方角から提示する。本稿は、この一軒を編集部の視点から解剖する。

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

ジャヌ東京 (Janu Tokyo) — 東京・港区麻布台

麻布台ヒルズの中心、122室に対しウェルネス棟4,000㎡という規模比で都市リゾートを再定義する一軒。

Media Picks Score: 94 / 100  122室、ラグジュアリーホテル。

目安価格 ¥202,000–¥380,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ジャヌ東京 — 港区麻布台ヒルズ・2024年3月開業、Aman 姉妹ブランド Janu の世界1号店
PHOTO: Janu Tokyo — 公式サイトを見る →

歴史と建築

Janu(ジャヌ)はサンスクリット語で「魂」を意味する。Aman の創業者エイドリアン・ゼッカが、Aman とは別の文法で都市と対話するブランドとして構想したのが Janu である。世界第1号として東京を選び、立地に麻布台ヒルズを選んだ判断には、編集部の興味が向く。森ビル主導の都心再開発が完成形を見せた2024年春、ホテルは街区の中央に開業した。客室は122室、地上11フロアに分散している。建築デザインはロックウェル・グループ。木材・石・革・ブロンズなど、東京の都市らしい硬質さと、滞在型リゾートの肌触りを両立させる素材選択が随所に見える。エントランスから客室への動線、エレベーターホール、廊下幅 — どれも都市ホテルの標準より広く、リゾートの間の取り方に近い。

滞在の体験

客室はジュニアスイートから始まる構成で、最小カテゴリーで約55㎡。窓は基本的に南東〜南西を向き、東京タワーと六本木の街並みを切り取る方角が中心になる。皇居側ではなく、街の光景を選んだ立地は、Janu のブランド設計を考えるうえで象徴的である。バスルームは大理石、深さのある浴槽、ダブルシンク。ベッドはハンドメイドのカスタム仕様で、滞在の核として設計されている。館内のダイニングは8カ所。広東料理の Hu Jing、和食の墨(SUMI)、地中海の Janu Mercato、グリルの Janu Grill、フランス菓子の Janu Patisserie、ロビーバーの Janu Lounge — 一日の滞在で館外に出ない選択も成立する。これは Aman 本流の「街と地続き」とは別の論理であり、Janu の都市リゾート解釈の中核に位置している。

4,000㎡のウェルネス棟という回答

このホテルの設計で最も特徴的なのは、4階建て・約4,000㎡のウェルネスセンターである。25mプール、ハマム、サーマルスイート、武道のためのドージョー、ピラティス・ヨガスタジオ、グループフィットネス、メディカルスパ、トリートメントルームを含む。122室に対しこの規模は都市ホテルとして類例がない。客室数とウェルネス面積の比は約33㎡/室。Aman 東京(84室、地下にウェルネス棟)と比べても、Janu が「身体性」を主体として設計されていることが分かる。社交的な静けさ — Aman の「静謐の極致」とは異なる、人と交差しながら整える場所 — というブランド設計が、この建築規模で具現化されている。

ジャヌ東京 — スイートのラウンジエリア、麻布台の都市光景を見下ろす窓と木質素材
PHOTO: スイートのラウンジエリア — 公式サイトを見る →

立地と周辺

麻布台ヒルズは、虎ノ門・神谷町・六本木の三角形の中央に位置する。最寄り駅は東京メトロ日比谷線・神谷町駅で徒歩約5分、南北線・六本木一丁目駅から徒歩約7分。羽田空港からはタクシーで30〜40分。麻布台ヒルズ内には森美術館の系譜にある森アートセンター、商業棟「ガーデンプラザ」、住宅棟「レジデンス」が並ぶ。徒歩圏に東京タワー、増上寺、有栖川宮記念公園。麻布十番の老舗街までは徒歩10分。立地としては、都心の中心と歴史的下町の境界を歩いて行き来できる位置に置かれている。

こんな旅人に

  • 向く:
    都心ステイで滞在型ウェルネスを核に組みたいリピーター、Aman を知った上で別の都市リゾート体験を求める旅人、館内ダイニングを8カ所巡る2-3泊滞在
  • 向かない:
    皇居や日本橋のクラシックな東京像を求める滞在、観光地を多く回り宿に戻る時間が短い旅程、1泊だけの宿泊(規模を体感できない)

具体情報

  • 所在地: 東京都港区麻布台 1-2-2 麻布台ヒルズ
  • 最寄り駅: 東京メトロ日比谷線・神谷町駅から徒歩 5 分(南北線・六本木一丁目駅から徒歩 7 分)
  • 客室数: 122 室、最小カテゴリー(ジュニアスイート)約 55 ㎡〜
  • ウェルネス: 4 階建て・約 4,000 ㎡(25m プール、ハマム、サーマルスイート、ドージョー、ヨガ・ピラティススタジオ)
  • レストラン・バー: 8 カ所(Hu Jing 広東、墨 SUMI 和食、Janu Mercato 地中海、Janu Grill、Janu Patisserie ほか)
  • 開業: 2024 年 3 月 13 日
  • 運営ブランド: Janu(Aman グループの姉妹ブランド、世界 1 号店)
  • 言語対応: 英・中・仏(公式予約サイト多言語対応)

集約レビューが映すこの宿の本質

公開レビューデータを集計したところ、開業1年強の時点での評価傾向としては、館内ダイニングの密度とウェルネス棟の規模に対する高い満足度が読み取れる。一方で、Aman のブランド体験を期待した宿泊者と、Janu 独自の都市社交性を評価する宿泊者で印象が分かれる傾向もある。これは Janu のブランド設計が想定どおり機能していることを示しているとも言える。客室設備・ベッドの寝心地・バスルームの素材感への評価は安定して高く、ハウスキーピングとフロントサービスの個別対応への評価も同様である。サービスの「速度」より「呼吸」を整える運営の方向性は、Aman と通底する。

ジャヌ東京 — Hu Jing(虎景)、館内 8 カ所のダイニングの一つ、革新的な広東料理
PHOTO: Hu Jing(虎景)— 公式サイトを見る →

Media Picks Score

94 / 100 — 立地(麻布台ヒルズ中心、駅5分)、設備(4,000㎡ウェルネス棟、8カ所のダイニング)、体験(社交的な静けさという独自のブランド翻訳)、価格感(都心ラグジュアリーの上位帯)、編集適合度(国際ブランドの世界1号店としての希少性)を総合し編集部が算出。

編集部から

Janu Tokyo は、Aman を知った旅人にも、知らない旅人にも、それぞれ別の発見を与える構造になっている。Aman 東京と比較するとき、Janu の存在意義は単なる「廉価版 Aman」ではなく、社交性を含む都市リゾートという独自の解釈にある。麻布台ヒルズという街区の完成と同時に開業した背景、122室というスケール、ウェルネス棟の規模 — すべてが「都市の中で身体を整える」という一貫した方向性を持つ。次は、世界2号店のサウジアラビア・アル・ウラー、3号店のディマニーニャトラルがどう展開するか。Janu Tokyo は、その先行例として読まれる宿である。

よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 通年で滞在価値があるホテルだが、編集部が推す時期は10月下旬から12月中旬の秋から初冬。麻布台ヒルズと東京タワーが夕景・夜景に映える季節で、ウェルネス棟のサーマルスイートとも相性が良い。桜の時期(3月下旬〜4月上旬)は近隣の有栖川宮記念公園と組み合わせやすいが、価格と稼働率は通年で最も高い。

Q. 予約のタイミングは?

A. 通常期で1〜2カ月前、桜・GW・年末年始は3カ月前が目安。スイートカテゴリーと特定の客室タイプ(東京タワー側角部屋など)は早期に埋まる。キャンセル規定は公式サイトで購入レートにより異なる。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. ファミリー対応は可能だが、館全体の雰囲気は静的なウェルネス志向。低年齢の子ども連れには Janu の文化的距離感が向かない場合もある。コネクティングルームの設定はあり、ベビーアメニティの貸出も受け付けている(要事前確認)。プールは年齢制限あり。

Q. アクセスは?

A. 東京メトロ日比谷線・神谷町駅から徒歩約5分、南北線・六本木一丁目駅から徒歩約7分。羽田空港からタクシーで30〜40分(¥7,000〜¥9,000目安)。成田空港からは東京駅経由で約1時間40分。

Q. 英語対応は?

A. フロント、コンシェルジュ、レストラン、ウェルネス棟いずれも英語対応。公式予約サイトは英・仏・中の多言語対応。海外メディアの掲載歴も豊富で、訪日宿泊者比率は高い。

本記事の参考情報

ジャヌ東京 公式サイト — 客室、ウェルネス、ダイニング情報
麻布台ヒルズ 公式サイト — 街区全体の構成と動線
Wikipedia: 麻布台ヒルズ — 開発の経緯と地理