英虞湾を見下ろす丘の上に、アマンの一軒がある。リアス海岸の入り江に真珠筏が浮かぶ、三重・伊勢志摩。国際ブランドのリゾートが日本国内に開いた数少ない場所のひとつであり、その周囲には、英虞湾という景観を中心に据えた個性の異なるリゾートが点在する。本稿では、伊勢志摩の海を抱く 5 軒を、編集部が選んだ。
| # | ホテル | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アマネム | 志摩・浜島 | 93 | 28 | ¥268–¥405k | 英虞湾を見下ろすアマンの温泉リゾート、国内唯一のアマン×温泉 |
| 2 | 志摩観光ホテル ザ ベイスイート | 志摩・賢島 | 94 | 50 | ¥133–¥223k | 全 50 室スイート、2016 年 G7 サミット主会場の系譜 |
| 3 | Village & Hotel 志摩地中海村 | 志摩・浜島 | 91 | 53 | ¥59–¥82k | 英虞湾の入り江に再現された地中海の集落、温泉付き |
| 4 | NEMU RESORT | 志摩・浜島 | 90 | 86 | ¥53–¥103k | ウェルネス志向のスパリゾート、マリーナ&ヨガ&ゴルフ |
| 5 | 都リゾート 志摩 ベイサイドテラス | 志摩・賢島 | 86 | 108 | ¥44–¥76k | 英虞湾のサンセットを正面に望む南欧風オーベルジュ |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)。
1. アマネム — 志摩・浜島
英虞湾を見下ろす丘の上に、アマンが温泉を内側に持ち込んだ一軒。国内で唯一の、アマン×温泉という構造を抱える宿。
Media Picks Score: 93 / 100 28室、リゾート温泉。
目安価格 ¥268,000–¥405,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
アマンが日本国内で初めて温泉を取り込んだ宿。客室はスイートとヴィラの 28 室のみで、すべての部屋に屋内温泉が引かれている。英虞湾を望む 2,000 ㎡のスパでは、地下から汲み上げられた湯と、伊勢の自然素材を用いたウェルネスプログラムが組み合わさる。建築は Kerry Hill — アマン東京、アマンキラと同じ手の仕事である。
集約レビューの傾向
公開レビューの集約傾向としては、静けさ・建築・スパの 3 点が高い評価を集めている。とくに「夜の湯小屋から見上げる星」「廊下の素材感」「英虞湾を望むテラス」が繰り返し言及される。一方で価格帯に対する期待と、食事の量・回数構成についてはレビューに揺れが見られる — リゾートではなく retreat として滞在する設計と理解されたとき、最も満足度が高い。
向く人 / 向かない人
-
向く:
記念日・ハネムーン、長く泊まる滞在型の旅、ウェルネス目的、海外のアマン施設に通じる旅人 -
向かない:
観光地巡りを中心に置く旅程(宿が滞在の主役)、にぎわいや夜の街並みを求める滞在
具体情報
- 最寄り駅: 近鉄賢島駅からタクシー約 15 分(送迎ハイヤーあり)
- 客室サイズ: 71〜173 ㎡(スイート 24 室・ヴィラ 8 棟)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜12:00
- 食事:
- 開業: 2016年(アマン日本国内 2 軒目)
- 言語対応: 英語・中国語ほか(アマン世界水準)
2. 志摩観光ホテル ザ ベイスイート — 志摩・賢島
英虞湾に向かう半島の先端に、全 50 室がすべてスイート。2016 年 G7 サミット主会場として世界に開かれた、伊勢志摩の象徴。
Media Picks Score: 94 / 100 50室、オールスイートリゾート。
目安価格 ¥133,000–¥223,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
賢島の高台に建つ、英虞湾を抱える形で開かれたリゾート。全 50 室がバルコニー込み 100 ㎡のスイートで、海側の眺望と、ミシュランで星を獲得し続けるフレンチ「ラ・メール」が二本柱となっている。
集約レビューの傾向
食事 — とくに「ラ・メール」のフルコースと、和食「浜木綿」の伊勢志摩の素材 — に対する評価が突出している。次いで眺望、スタッフの所作、サミット会場の歴史を語る館内の質感が言及される。価格に対する価値については「期待を上回る」コメントが多いが、湯はなく、純粋な温泉目的の旅とは性格が異なる点には注意。
向く人 / 向かない人
-
向く:
フレンチを軸とした記念日、家族旅行(広いスイートに 3 人で泊まれる)、海外からの賓客を案内する旅 -
向かない:
温泉を主目的とする旅、にぎわいや街歩きを求める滞在、低価格帯を探している場合
具体情報
- 最寄り駅: 近鉄賢島駅から徒歩 10 分(無料送迎あり)
- 客室サイズ: 全室 100 ㎡(バルコニー含む)
- チェックイン: 14:00〜 / アウト 〜12:00
- 食事: フレンチ「ラ・メール」(ミシュラン星付き)、和食「浜木綿」
- 開業: 2008年(既存「志摩観光ホテル」の系譜は 1951年から)
- 歴史: 2016 年 G7 伊勢志摩サミット主会場
3. Village & Hotel 志摩地中海村 — 志摩・浜島
英虞湾の入り江に、地中海の白い集落を移したような一軒。スペイン人建築家が設計を手掛けた、国内で他に類を見ない景観コラージュ。
Media Picks Score: 91 / 100 53室、テーマリゾート。
目安価格 ¥59,000–¥82,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
33,000 ㎡の敷地に、アンダルシア、カスティーリャ、メノルカといった地中海各地の集落を再現したテーマリゾート。スペインの建築デザイナー Luis Corbera による設計監修。客室は石造りの白壁が並ぶ路地の奥にあり、英虞湾を見下ろすスイートにはビューバスとアラビックスタイルの天然温泉が組み合わされる。日帰り入村も可能だが、夜の集落が照らされる時間は宿泊者だけのものとなる。
集約レビューの傾向
「写真でしか伝わらない雰囲気」「日本にいるのを忘れる空間」という感想が繰り返し集まる。とくにカップル・女性 2 人旅の支持が高い。一方、家族連れからは「路地のアップダウンが多く荷物移動が大変」「敷地が広く客室まで遠い」といった構造的なコメントもあり、訪れる前に施設マップを確認しておくとよい。
向く人 / 向かない人
-
向く:
写真を撮る旅、カップル・女性 2 人旅、海外旅行に行きにくい時期の代替、ペット可の宿を探している人 -
向かない:
段差の多い動線が負担になる旅、純粋な和の様式を望む旅、効率重視で観光地を回る旅程
具体情報
- 最寄り駅: 近鉄鵜方駅からタクシー約 15 分
- 客室サイズ: 38〜120 ㎡(スイート・ヴィラタイプあり)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: スペイン料理レストラン「Kokotxa」ほか、村内に複数のダイニング
- 開業: 1993年
- 特徴: アラビックスタイル天然温泉、ペット同伴可ヴィラあり
4. NEMU RESORT — 志摩・浜島
賢島湾に開かれたマリーナとゴルフを持つ、ウェルネス志向の総合リゾート。1967 年の「合歓の郷」を起源に持つ、伊勢志摩リゾートの古典のひとつ。
Media Picks Score: 90 / 100 86室、ウェルネスリゾート。
目安価格 ¥53,000–¥103,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
マリーナ、ゴルフコース、ヨガスタジオ、スパ、星空観測スポット — リゾート滞在に必要な要素が一つの敷地に揃う。1967 年に開業した「合歓の郷」を再生したリゾートで、賢島湾を望むラウンジから望むサンセットタイムは伊勢志摩を代表する眺めのひとつ。クルーザーで英虞湾内を巡るプログラムも用意されており、海から景観を捉え直す滞在ができる。
集約レビューの傾向
子連れ・三世代旅の評価が高く、敷地内のアクティビティ多様性と、伊勢志摩の素材を使った食事が支持されている。ウェルネス系のプログラムは欧米からの旅行者にも届きやすい構成。一方、館内移動の動線と、客室棟の建築年次(一部は古い)に触れる感想もあり、エリアとフロア指定は事前に確認したい。
向く人 / 向かない人
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向く:
ファミリー・三世代旅行、ゴルフを軸にした滞在、ウェルネス・リトリート志向、英語対応を求める旅 -
向かない:
新築のラグジュアリーを最優先する旅、静けさを優先する大人 2 人旅(敷地全体が賑わう)
具体情報
- 最寄り駅: 近鉄賢島駅から無料送迎バスで約 20 分
- 客室サイズ: 33〜85 ㎡(カテゴリー多数)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 和洋ビュッフェのメインダイニング、伊勢志摩素材の会席プランあり
- 創業: 1967年(前身:合歓の郷)/2026年 4 月リブランド再開業
- 施設: マリーナ、ゴルフ、スパ、ヨガスタジオ
5. 都リゾート 志摩 ベイサイドテラス — 志摩・賢島
英虞湾のサンセットを正面に置く、南欧風オーベルジュ。全室テラス付きで、湾の色が時間ごとに変わるのを部屋から眺められる。
Media Picks Score: 86 / 100 108室、ベイサイドリゾート。
目安価格 ¥44,000–¥76,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
英虞湾の西側に立地し、夕方には湾全体が黄金色に染まる。全 108 室すべてに専用テラスが付き、和食とフレンチの 2 名の料理長によるオーベルジュ仕立てのフルコースを目玉とする。価格は本稿で取り上げる 5 軒のなかで最も抑えられており、ベイサイドリゾートの導入として滞在する選択がしやすい。
集約レビューの傾向
サンセットと食事の評価が安定して高い。とくに「テラスから見える夕暮れ」「フレンチと和食の組み合わせ」が支持されており、価格に対する満足度の言及も多い。一方で、湯処は温泉ではなく大浴場である点、近鉄賢島駅からの距離(送迎バスを使う前提)には事前確認が必要である。
向く人 / 向かない人
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向く:
初めての伊勢志摩、夕景を主目的にする旅、コース料理を軸とした 1 泊、価格バランスを取りたいカップル -
向かない:
温泉を主目的とする旅、駅から徒歩圏を望む滞在、極端なラグジュアリーを期待する場合
具体情報
- 最寄り駅: 近鉄賢島駅から無料送迎バスで約 5 分
- 客室サイズ: 35〜85 ㎡(全室テラス付き)
- チェックイン: 14:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: オーベルジュスタイル — 和食「浜木綿」、フレンチコース、料理長 2 人体制
- 開業: 1992年
- 眺望: 英虞湾の西側に位置、サンセットを正面に望む
よくある質問
Q. 伊勢志摩のベストシーズンはいつですか?
A. 5–6 月と 9–10 月が、湾の色と気候の両面で安定する。盛夏は湿度が高く、冬は風が強い日が増えるため、テラス滞在を主目的にするなら春・秋を編集部は推す。真珠の収穫期(11 月)に合わせる旅も、英虞湾の景観に深みが出る。
Q. 海外からの旅行者でも泊まれますか?
A. アマネムと志摩観光ホテル ザ ベイスイートは英語対応が日常的で、海外メディア掲載歴も多い。NEMU RESORT もウェルネス系のプログラムが英語で提供されている。志摩地中海村はテーマ性が高く、海外からの旅行者にも理解されやすい — むしろ「日本のなかの地中海」を体験する文脈で語られることがある。
Q. アクセスは?
A. 主要ルートは名古屋経由。近鉄特急で名古屋から賢島まで約 2 時間。各リゾートとも賢島・鵜方駅から送迎バスもしくはタクシー対応がある。アマネムは中部国際空港からの送迎ハイヤーまたはヘリポートも利用できる。関西圏からは大阪難波・鶴橋から近鉄特急で約 2 時間半。
Q. 最低何泊が向きますか?
A. ベイサイド系(都リゾート、NEMU、地中海村)は 1 泊で完結する設計だが、アマネムと志摩観光ホテル ザ ベイスイートは 2 泊以上で本領が発揮される。とくにアマネムは「retreat」として設計されているため、編集部としては 2–3 泊を推したい。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 都リゾート、NEMU RESORT、志摩観光ホテル ザ ベイスイート は子連れに対応した運用が整っている。志摩地中海村はペット同伴可の客室もあり、敷地内が散策しやすい。アマネムは静けさを軸にした宿のため、子連れの場合は事前にプランと客室タイプ(ヴィラ等)を確認することが望ましい。
本記事の参考情報
・伊勢志摩観光コンベンション機構 — エリアの観光情報
・Wikipedia: 英虞湾 — リアス海岸と真珠養殖の地理的背景
・環境省: 伊勢志摩国立公園 — 国立公園の指定区域・自然環境
編集部から
伊勢志摩は、リアス海岸の地形が宿の輪郭を決めている場所である。アマンが温泉を持ち込み、近鉄系の宿が湾の高台と西側を抑え、スペインの建築家が地中海の集落を入り江に置いた — 各々が選んだ視点はすべて英虞湾の同じ水面に向いているが、語り方はまったく違う。次の旅で湾を見るとき、どの宿のテラスから眺めたいかを先に決めると、伊勢志摩の輪郭が少しずつ手元に近づく。