米国旅行誌 AFAR が「2026年に訪れるべき場所」として、日本から唯一選んだのが新潟県の佐渡島である。ユネスコ世界遺産に登録された佐渡金山、たらい舟と海女、能楽の伝承を抱える島は、海外読者の関心を集めはじめている。日本海に浮かぶこの面積 855 平方キロの島で滞在する宿を、両津港側・相川海岸側・佐和田中心部にまたがって5軒、編集部が選んだ。海岸線への距離、英語対応の度合い、温泉・建築の地域性を軸にしている。

# ホテル エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 HOTEL OOSADO 佐渡市 相川 92 74 ¥69–¥149k 相川海岸の崖上、水盤テラスと夕陽が一体化する再開業の宿
2 SADO RESORT HOTEL AZUMA 佐渡市 七浦海岸 91 52 ¥70–¥121k 七浦海岸の高台、7000 坪の庭と夕陽の温泉を擁す老舗リゾート
3 たびのホテル佐渡 佐渡市 佐和田 90 111 ¥16–¥21k 島中央の拠点、海洋深層水大浴場と多言語対応のライフスタイル系
4 ホテル万長 佐渡市 相川下戸町 89 66 ¥57–¥96k 金銀山町の歴史を館内に内包する、相川の老舗温泉旅館
5 佐渡グリーンホテルきらく 佐渡市 椎崎温泉 86 31 ¥29–¥31k 両津港至近、加茂湖と大佐渡山脈を望む椎崎温泉の高台の一軒

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

1. HOTEL OOSADO — 佐渡市 相川

日本海を見下ろす崖の上、2024 年に再開業した相川の宿で、水盤テラスがそのまま海と地続きになる。

Media Picks Score: 92 / 100  74室、相川海岸の中規模リゾート。

目安価格 ¥69,000–¥149,000 / 泊 (2名1室・通常期)


HOTEL OOSADO — 佐渡相川春日崎 · 日本海の崖上に建つ全客室オーシャンビューの再開業リゾート
PHOTO: HOTEL OOSADO — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

1964 年開業の老舗が、2024 年 3 月にリブランド再開業した。相川春日崎の海食崖の上、74 室すべてが日本海に面する地形を選んだ計画である。水盤越しに水平線が続くインフィニティ仕様のテラスは、夕陽時刻にハイライトを迎える。佐渡随一の海岸景観と、改装後の現代的な内装の対比が、この宿の選定理由になる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、海と夕陽の景観、リニューアル後の客室の清潔感、地魚を中心とした夕食の質に高評価が集中する。一方で、相川中心部から離れた立地のため、夜の外出は車前提という指摘も見られる。海外旅行客の感想では、英語対応と海景観の二点が特に好感されている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    記念日のカップル旅、海と夕陽を撮りに来る写真家、佐渡 1 泊で景観を最優先する海外からの旅行者
  • 向かない:
    夜の市街地散策を期待する旅行者、相川金山と街歩きを徒歩で組み立てたい滞在、低価格帯を求める一人旅

具体情報

  • 最寄り港: 両津港から車で約 60 分、佐渡汽船小木港からは約 90 分
  • 客室: 全 74 室、全室オーシャンビュー、スイート含む多様なタイプ
  • 温泉: 自家源泉、内湯と展望露天風呂を併設
  • 食事: 地物海産物を中心とした和食会席
  • 創業 / リブランド: 1964 年開業、2024 年 3 月リブランド再開業
  • 特設施設: インフィニティ仕様の水盤テラス、海を望むランチ営業


2. SADO RESORT HOTEL AZUMA — 佐渡市 七浦海岸

佐渡の西端、七浦海岸の高台に 7000 坪の庭が広がる。夕陽が温泉露天を染める時刻だけ、ここに来る意味が明らかになる。

Media Picks Score: 91 / 100  52室、旅館、リゾート系。

目安価格 ¥70,000–¥121,000 / 泊 (2名1室・通常期)


SADO RESORT HOTEL AZUMA — 佐渡七浦海岸 · 1925 年開業、夕陽の温泉露天と 7000 坪庭園を擁す老舗リゾート
PHOTO: SADO RESORT HOTEL AZUMA — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

1925 年創業、佐渡の最西端に位置する。日本海を望む 7000 坪の庭園が敷地内にあり、海岸の岩場や古代墳墓へと続く小径が引かれている。料理長による会席料理と、岩場と海に開いた温泉露天風呂が二本柱になる。「夕陽に最も近い宿」と自称する立地は、佐渡の西海岸線の中でも特異な切り立った台地の上にある。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、庭園と海の景観、夕陽時刻の温泉、季節の和食会席に対する評価が高い。100 年近い歴史と、近年の客室改修で生まれた現代的な滞在感のバランスが評価されている。一方で、施設が広大な分、車椅子や高齢者には移動が大きく感じられるという指摘も見られる。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    夕陽の温泉が旅程の中心になる旅、佐渡の和食と庭園文化を体験したい滞在、海外からの 2〜3 泊滞在客
  • 向かない:
    移動が多い旅程、夜の繁華な街歩きを望む旅、ベジタリアン中心の食を優先する人

具体情報

  • 最寄り港: 両津港から車で約 50 分、小木港から約 80 分
  • 客室: 52 室、和室・洋室、オーシャンビュー優先
  • 温泉: 七浦温泉、夕陽の露天風呂と貸切風呂を併設
  • 食事: 料理長による季節会席(朝夕個室提供)
  • 創業: 1925 年(大正 14 年)
  • 敷地: 7000 坪の芝生庭園、岩場・古代墳墓を含む


3. たびのホテル佐渡 — 佐渡市 佐和田

島の中央・佐和田にある拠点型ホテル。海洋深層水の大浴場と多言語対応で、佐渡を能動的に動く旅人に合う。

Media Picks Score: 90 / 100  111室、ホテル、ライフスタイル系。

目安価格 ¥16,000–¥21,000 / 泊 (2名1室・通常期)


たびのホテル佐渡 — 佐渡市佐和田 · 2018 年開業、佐渡深層水の大浴場と多言語対応のライフスタイル拠点
PHOTO: たびのホテル佐渡 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

2018 年 7 月開業、サンフロンティアグループが運営する島中央のライフスタイルホテルである。両津・相川・小木の全方位に車で 30〜60 分というアクセス特性は、佐渡を一日で複数エリア動きたい旅人に合う。佐渡近海の深層水を引いた大浴場と、地元食材を活かした和洋折衷の朝食、英語ウェブサイトの充実度が、海外旅行客の選好で上位に来る理由になる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、立地の良さに加えて、運営が丁寧であることが印象に残る。家族客の感想では、子連れ運営と広めの客室への評価が高く、食事面はビュッフェ形式のため、夕食を集中して味わいたい層には人を選ぶ傾向が見て取れる。海外利用客の比率が島内で相対的に高く、英語・中文表記の整備が支持されている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    佐渡を 2〜3 泊で広く回る旅程、家族旅行、英語で予約・滞在を完結したい海外旅行者、価格帯を抑えたい一人旅
  • 向かない:
    夕食を会席で楽しみたい旅、温泉旅館の様式を期待する宿泊、海岸至近のオーシャンビューを求める人

具体情報

  • 最寄り港: 両津港から車で約 25 分、小木港から約 45 分
  • 客室: 全 111 室、シングル・ツイン・ファミリーまで多様な構成
  • 大浴場: 佐渡近海の海洋深層水を使用
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 朝食ビュッフェ(夕食は提携店との連携あり)
  • 開業: 2018 年 7 月
  • 言語対応: 英語での問い合わせに対応


4. ホテル万長 — 佐渡市 相川下戸町

相川の海辺、佐渡金銀山の鉱山町を歩く旅の拠点として建つ。館内に美術工芸品の展示室を持つ、文化を内包した温泉旅館。

Media Picks Score: 89 / 100  66室、旅館、温泉付。

目安価格 ¥57,000–¥96,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテル万長 — 佐渡相川下戸町 · 1950 年代開業、館内に佐渡美術工芸品を展示する相川温泉の老舗
PHOTO: ホテル万長 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

佐渡金銀山の鉱山町として栄えた相川下戸町、海辺に建つ温泉旅館である。館内には佐渡にゆかりのある美術工芸品を展示する小ギャラリーが点在し、宿そのものが島の文化史の一部を抱えている。世界遺産登録された佐渡金山遺跡、北沢浮遊選鉱場跡、相川京町通りまでが徒歩から短い車移動で結ばれている。文化的レイヤーを目的に来る海外読者の動線と、もっとも相性のいい宿である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、相川金山遺跡へのアクセスと宿の温泉、地物海産物を中心とした夕食への評価が安定して高い。館内展示や、相川の歴史を語る随所の工芸品配置にも好意的なコメントが見られる。建物自体は歴史を重ねており、新築リゾートとは趣が異なる。世界遺産観光と一体で計画する旅人に向く宿である。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    佐渡金銀山と相川街歩きが主目的の旅、和の意匠を体験したい海外旅行者、温泉旅館の伝統的な様式を望む人
  • 向かない:
    最新のリゾート建築・モダンなインテリアを望む人、子連れの大移動を伴う旅、夜の繁華街を期待する旅程

具体情報

  • 最寄り港: 両津港から車で約 55 分、小木港から約 85 分
  • 客室: 全 66 室、和室主体
  • 温泉: 相川温泉、単純泉(弱アルカリ性低張性温泉)
  • 食事: 佐渡近海の海産物を中心とした和食会席
  • 館内: Wi-Fi 全館無料、佐渡ゆかりの美術工芸品展示室
  • 住所: 〒952-1575 新潟県佐渡市相川下戸町 58
  • アクセス特性: 北沢浮遊選鉱場・佐渡金山遺跡まで車で短距離


5. 佐渡グリーンホテルきらく — 佐渡市 椎崎温泉

両津港から車で五分、加茂湖と大佐渡山脈をパノラマで見下ろす椎崎温泉の高台に立つ。露天「朱鷺の舞湯」が朝の風景を支配する。

Media Picks Score: 86 / 100  31室、旅館、椎崎温泉。

目安価格 ¥29,000–¥31,000 / 泊 (2名1室・通常期)


佐渡グリーンホテルきらく — 佐渡椎崎温泉 · 両津港至近、加茂湖と大佐渡山脈を望む高台の温泉旅館
PHOTO: 佐渡グリーンホテルきらく — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

両津港から車でわずか 5 分、椎崎温泉郷の高台に立地する 31 室の温泉旅館である。佐渡島内で湯量と湯温が最大級と謳う椎崎温泉郷の中核施設で、加茂湖と大佐渡山脈を一望するパノラマ大浴場と露天風呂「朱鷺の舞湯」が看板になる。漁協から毎朝仕入れる魚・牡蠣を中心とした夕食は、両津港至近という立地が直接反映される構成である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、両津港からの距離の近さと、加茂湖を望む露天風呂、地物の食事に対する評価が中心になる。客室は標準的な和室・洋室で、新築リゾートの華やかさは控えめだが、運営の素朴さと温泉の質を支持する常連層が見える。佐渡 1 泊で両津側を起点に動きたい旅程に合う宿である。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    フェリー到着初日に温泉でゆっくりしたい旅、両津側を拠点に動きたい滞在、温泉と魚介の素朴な日本旅館を求める海外旅行者
  • 向かない:
    モダンなインテリアやデザイン重視の旅、相川中心の世界遺産観光が主目的の旅程、ハイエンドの会席を期待する人

具体情報

  • 最寄り港: 両津港から車で約 5 分(送迎要相談)
  • 客室: 31 室、和室主体、加茂湖・大佐渡山脈ビュー
  • 温泉: 椎崎温泉、露天風呂「朱鷺の舞湯」、パノラマ大浴場
  • 食事: 漁協直送の地魚・牡蠣を中心とした和食
  • 立地特性: 椎崎温泉郷に位置する
  • 住所: 新潟県佐渡市原黒 658


よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 梅雨明け(7 月中旬)から佐渡おけさの時期にかけてが、編集部の推す時期である。海岸線が穏やかになり、フェリーも安定運航する。9 月の佐渡おけさ流しは島最大の年中行事で、宿泊予約は早い段階から埋まる傾向にある。冬季(12〜2 月)は日本海の強風で連絡船が欠航することがあり、計画には予備日を組むのが安全である。

Q. アクセスは?

A. 新潟港から両津港まで佐渡汽船のジェットフォイル(高速船)で約 65 分、カーフェリーで約 2 時間 30 分。直江津港から小木港へは高速船で約 1 時間 40 分のルートもある。羽田・関西空港から新潟空港経由で 1 日での到達も可能だが、フェリー連絡を考えると新潟泊の前泊が安全である。

Q. 英語で予約・滞在は可能ですか?

A. たびのホテル佐渡と HOTEL OOSADO は英語サイトと英語スタッフ対応がある。SADO RESORT HOTEL AZUMA、ホテル万長、佐渡グリーンホテルきらくは英語ウェブの整備度合いは限定的だが、メールでの予約問い合わせは対応している。AFAR の 2026 年掲載以降、英語対応の整備は島全体で進みつつある。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. たびのホテル佐渡は 111 室の構成にファミリールームを含み、子連れに最も合う。SADO RESORT HOTEL AZUMA とホテル万長は和室中心で添い寝可、HOTEL OOSADO は静かな滞在を志向するためカップル中心の客層になる。佐渡グリーンホテルきらくは温泉旅館の伝統的な様式で、子連れ運用も対応する。

Q. 何泊が適切ですか?

A. 佐渡を一周するなら 2〜3 泊が編集部の推す滞在日数である。1 泊だと相川か両津のどちらか一方しか掘り下げられず、AFAR の評価軸である「文化的レイヤーの厚さ」を体感しにくい。世界遺産の佐渡金山遺跡、北沢浮遊選鉱場、宿根木集落、たらい舟、トキの森公園、能舞台を巡るには最低 2 泊、できれば 3 泊を組みたい。

本記事の参考情報

さど観光ナビ — 佐渡観光交流機構による島全体の公式観光案内
AFAR Media — 2026 年に訪れるべき場所として日本から佐渡島を選出した米国旅行誌
Wikipedia: 佐渡島の金山 — 2024 年ユネスコ世界遺産登録の経緯

編集部から

佐渡島が AFAR の 2026 年リストに掲載された背景には、ユネスコ世界遺産登録と、訪日リピーター層の関心の移動がある。京都・東京・大阪を回り終えた海外旅行者が、次に向かう「もうひとつの日本」を探している。佐渡はその答えとして、海岸線・鉱山史・能楽・たらい舟・トキ──固有の文化レイヤーを島という閉じた地理に収めている。今回の 5 軒は、その入口を相川海岸・両津側・佐和田と分散させて提示するものである。次は宿根木の集落と小木側の海岸文化を、別記事で取り上げたい。